波上宮とは?
琉球八社(琉球王府から特別の扱いを受けた八つの神社)の首座に置かれます。
御祭神は伊弉冉尊 (いざなみのみこと)、速玉男尊 (はやたまをのみこと)、事解男尊 (ことさかをのみこと)。
別鎮斎は火神(ヒヌカン/竈神。沖縄の家庭の守り神)、産土神(うぶすなのかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ/薬祖神)です。
創始年は不詳。波上の崖端を聖地・拝所として海神の国(ニライカナイ)の神々に祈りを捧げたことがはじまりとされています。琉球王朝時代の交易の要・那覇港から出港する船は航路の平安を、入港する船は航海無事の感謝を波上宮に捧げたと伝えられています。人々は常に豊漁、豊穣を祈り、琉球国王自らも毎年正月に国家の平安と繁栄を願って参拝してきた沖縄を代表する神社です。
第二次世界大戦で被災しましたが、1953年に本殿と社務所、1961年に拝殿が再建されました。
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御鎮座伝説
南風原に崎山の里主という人物がいて毎日釣りをしていましたが、ある日、浜で不思議な”ものを言う石”を得ました。光を放つ霊石で、彼はこの石に祈って豊漁を得ることができるようになり、とても大切にしていました。
このことを知った諸神が石を奪おうとし、逃げる里主が波上山(現在の波上宮)に着いた時、「吾は熊野権現なり。この地に社を建てまつれ、然らば国家を鎮護すべし」という神託(神のお告げ)を聞きます。そこで里主は王府に奏上し、王府は社殿を建てて篤く祀ったということです。
なんみん祭とは?
毎年5月17日に近い日曜日を中心に4日間にわたって行われる、波上宮の例大祭。地域の小学校や各種団体から沖縄の芸能の第一人者まで、幅広い出演者によるお神輿行列、沖縄伝統芸能などを堪能できるお祭りです。
沖縄角力(すもう)や波の上ビーチでの綱引き、雅楽、琉球舞踊など、とにかく見どころがたくさん。地域の方々がこぞって足を運び、楽しんでいる姿も印象的でした。沖縄らしい多彩な文化のチャンプルーを感じる、地域色豊かな雰囲気です。
何ができるの?
とにかく多彩な催しが4日間続くなんみん祭。その中から、ぜひ見てほしい、参加してほしい4つのイベントをセレクトしてご紹介します。
1. お神輿行列(5月19日10:00~)
爆竹とともに始まるお神輿行列。神職に続き、大きな太鼓や天狗、獅子、雅楽隊、そしてお神輿が姿を現します。
地域の小学校の子どもたちが担ぐ小さなお神輿もかわいらしくほほえましいですね。
その後に続くのは巨大な旗頭と琉球舞踊のひとつ「じゅり馬」。
波上宮を出発した行列は沖縄県庁向かいにあるパレットくもじ前広場までパレードし、奉納演舞を行い、帰ってきます。
日本本土の文化であるお神輿を見る機会は沖縄ではかなりレア。獅子舞や琉球舞踊、旗頭といった沖縄の伝統芸能もたっぷり続きます。地元の方や移住者、観光客、誰が見ても楽しめる、何ともチャンプルー(混ぜこぜ)な行列。沖縄の大らかな文化性、交易の歴史をひしひしと感じます。ぜひ足を運んで、実際にご覧ください。
観覧は波上宮の入口の鳥居前がおすすめですよ。
2. ブクブクー茶奉納・野点(のだて)(5月18日13:30~ 参集殿)
沖縄伝統ブクブクー茶保存会によるブクブクー茶のふるまいも行われていました。誰でも参加することができ、料金もかかりません。
ブクブクー茶とは、こんもりと盛られた泡が特徴の沖縄独特のお茶。炒った米を煮出した煎米湯とさんぴん茶(ジャスミン茶)や番茶などを混ぜて「ブクブクー皿」と呼ばれる木鉢に入れ、約22cmの大きな茶筅(ちゃせん)で泡立て、赤飯や豆などが入った小ぶりの碗に盛ったものです。仕上げに炒って砕いたピーナッツをふりかけて出来上がり。
作法は特になく、添えられたお菓子(この日はちんすこう)と一緒に楽しみながら飲めばよいということです。口をつけるとふわふわのきめ細かな泡がはじけ、ピーナッツの香ばしさが広がります。温かいさんぴん茶が何倍にも香ばしく、おいしく感じられました。
時折保存会の方がお茶をつぎ足しに回られ、恐縮しつつ私も2杯ほどおかわりをいただきました。
訪れた方を心からもてなし、たくさんおかわりしてもらいながら、ともにゆっくり過ごす。沖縄らしい、人と人の間をゆるやかにつなぐお茶でした。ちなみに、最後に残ってしまう赤飯や豆は、指ですくって食べていいとのこと。縁起物とのことですので、ぜひ残さずお召し上がりくださいね。
3. 表千家献茶祭・野点(のだて)(5月19日12:00~ 参集殿)
表千家一門の方々による、本格的なお茶席も設けられます。作法などを知らなくても大丈夫、誰でも無料で気軽に楽しむことができます。お座敷に座るのではなく、野点(屋外で行うお茶席)の形式で、ベンチに座って薄茶(お抹茶)とお菓子をいただく形式です。
赤い和傘にお軸やお花も用意され、お点前(お茶を淹れる作法)や使われるお道具も見ることができます。とても貴重な機会なので、ぜひその雰囲気も楽しんでみてください。
特に作法を知らなくてもまったく問題ありませんが、参考までに3つだけポイントをお伝えします。
ポイント1 受け取り方
お茶碗は正面を向けて手渡されます。左手に載せ、右手を添える形で受け取りましょう。正面を避けて口をつけるため、時計回りに45度ほど回転させます。
ポイント2 飲み方
お茶は三口半で飲み干します。一口めが終わった後に、お点前をしてくださっている亭主に一礼するのもよいでしょう。
ポイント3 お返しするときには
飲み終わったら飲み口を親指と人差し指で軽く拭います。お茶碗を下げに来た方に、反時計回りに回転させて相手に正面が向くようにお返しします。
4. 琉球舞踊奉納(5月19日15:30~ 御社殿)
路次楽御座楽 (首里王府阿波連路次楽御座楽保存会会長 喜屋武卓八)
かぎやで風節 (阿波連本流啓扇文幸の会会主 金城文子・阿波連本流啓扇南風の会会主 赤嶺秀子)
作田 (真踊流佳幸の会会主 宮城幸子)
加那ヨー (玉城流玉扇会玉城盛義琉舞道場二代目家元 玉城秀子)
稲まづん (玉城流翔節会家元 玉城節子)
八重瀬の万歳 (親泊本流親扇会二代目家元 親泊興照)
浜千鳥 (宮城流二代目家元 宮城能造)
寿獅子 (貞扇本流貞扇会二代目家元 山内小夜)
独唱 仲風節 (人間国宝 照喜名朝一)
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独唱 仲風節 (人間国宝 照喜名朝一)
奉納演舞なので、とても厳かな雰囲気の中で行われますが、観覧自由で途中の出入りもOKです。座席も設けられていますので、ゆっくり鑑賞できますね。沖縄の古典音楽、舞踊のハイライトをぎゅっと凝縮したような贅沢な内容で本当におすすめです。
持っていくべきものや気をつけたいことは?
例年梅雨入り前後で湿度も気温も高く、晴れるとかなりの蒸し暑さになりますので、紫外線と熱中症には最大限の警戒を。飲み物は出店や自動販売機でも手に入りますが、念のため持参しておいた方が安心です。長袖、サングラス、日焼け止めなどでお肌と目を完全防備してください。混み合うと日傘はさしづらい場合もあるので、帽子やサンバイザーなども用意しておくのがおすすめです。
遊泳可能な波の上ビーチがすぐ近くにありますので、ビーチサンダルや水着、ラッシュガード、タオル、着替えなどもあるといいかもしれません。
詳細情報
開催日時
2019年5月16日(木)~5月19日(日)
2019年5月16日(木) 18:00~ 宵宮祭(よいみやさい/前夜祭)(御社殿)
2019年5月17日(金) 10:00~ 例大祭
初穂の舞・舞楽「蘭稜王」・稚児神楽 (御社殿)
2019年5月18日(土)
13:00~ 第24回ちびっこ相撲大会 伝統角力場 (旭ヶ丘公園)※雨天時若狭小体育館
13:00~ 沖縄玩具手作りコーナー (旭ヶ丘公園) ※雨天時若狭小体育館
13:30~ ブクブクー茶奉納(御社殿)・ブクブクー茶野点(参集殿)
14:00~16:00 謡曲・大正琴・エイサー奉納 (御社殿)
15:00~ 第26回文芸大会・表彰式(参集殿)
18:00~ 第27回演舞大会 (旭ヶ丘公園特設舞台)※雨天時若狭公民館
2019年5月19日(日) 10:00~ 神幸祭(しんこうさい/おみこし行列)
10:00~ 発輦祭(はつれんさい/出発)(御社殿)
11:30~13:00 お旅所祭(おたびしょさい)(パレットくもじ前広場)
奉納演舞(琉舞・空手・獅子舞・エイサー・吹奏楽・婦人舞踊・じゅり馬・旗頭・神輿練り)
14:00~ 着輦祭(ちゃくれんさい/到着)(御社殿)
12:00~ 表千家野点(ふるまい茶)(参集殿)
14:00~ 第63回全島沖縄角力大会 伝統角力場(旭ヶ丘公園)
15:00~ 第26回ビーチ綱引大会 (波之上ビーチ)
14:00頃 ふるまい鍋 (旭ヶ丘公園)
14:30~ 表千家 献茶祭 (御社殿)
15:30~ 琉球舞踊奉納 (御社殿)
17:00~ 自衛隊音楽隊演奏 (旭ヶ丘公園特設舞台)
18:00~ 第25回のど自慢大会 (旭ヶ丘公園特設舞台)※雨天時若狭公民館
開催場所
住所
沖縄県那覇市若狭1-25-11
パレットくもじ前広場
※波上宮からパレットくもじ前広場まで行列あり
問合せ先
なんみん祭実行委員会事務局(波上宮社務所内)
イベントURL http://naminouegu.jp/index.html
入場料
無料
アクセス
車
那覇空港から約10分
カーナビ設定
マップコード 33 185 022*00
那覇空港から公共交通機関で向かう場合
ゆいレールで県庁前駅、もしくは路線バス25番、26番、99番で県庁北口バス停下車。パレットくもじ前バス停まで徒歩移動し、2番、5番、15番、45番で西武門(にしんじょう)バス停下車、徒歩約3分
駐車場
あり 20台 ※祭り期間中は使用不可。近隣の有料駐車場をご利用ください。
徒歩5分ほどの波の上ビーチ隣接の若狭海浜公園駐車場は台数も多く、日中最大料金も設定されているのでおすすめです。
波上宮に向かう途中には、運が良ければオオゴマダラが舞う姿を見られることもあります。
地図
ストリートビュー
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まとめ
沖縄県内では珍しいお神輿行列や雅楽をはじめ、獅子舞や琉球舞踊、旗頭、古楽など様々な沖縄の文化に触れられるなんみん祭。ご紹介できたのはそのうちのほんの一部ではありましたが、いかがだったでしょうか。
那覇は古くから交易の要としてたくさんの文化に触れ、栄えてきた場所。中国やさらに南方の国々、日本本土の文化や風物を取り入れ、沖縄ならではの文化を発信してきた場所でもあります。そんな歴史にも思いを馳せながら楽しめるお祭りなので、4日間のうちの1日だけでもぜひのぞいてみてくださいね。
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