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歴史・文化

読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り【窯出し編】

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前回までのおさらい

「読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り」、第3回はいよいよ窯出しです。

数か月にわたって沖縄県読谷村のやちむん(焼きもの/陶器)の里、読谷山焼・北窯にお邪魔し、土作りや登り窯の修繕作業などの取材記録をもとに、沖縄の生活になくてはならない日常の器に隠された物語をお伝えしています。

第2回の記事では、登り窯の焚き上げの様子をお目にかけました。

詳しくはこちら

 

4日間にわたる窯焚きが終わった後、窯は焚き上げにかかったのと同じ4日間をかけて、蓄えた熱をゆっくりと放出していきます。

この間、陶工たちもやちむん作りのサイクルを一旦終え、ゆっくりと体を休めるのです。「窯休み」と呼ばれるこの期間が終わると、密閉した窯を開き、焼き上がったやちむんを取り出す「窯出し」が行われます。

4日間の窯焚きの成果が現れる瞬間、どうぞご覧ください。

窯出し

お伺いしたのは焚き上げから6日後の12月5日。

いくつかの袋はすでに入口が窯焚き前のように開かれています。内部に足を踏み入れてみると、サウナにいるような熱気。やちむんが棚にずらりと並び、取り出されるのを今か今かと待っているようでした。

密閉されていた窯口の一部も開けられていました。そこから撮影した内部の写真がこちら。

全体が艶のある黒に染まっています。これは薪が灰になり、高温の炎で溶かされて自然釉になったもの。各袋の内部、特に炎の通り道となる部分にも自然釉が見られます。

最後に焚かれた13番目の袋は近寄っただけでもじわりと熱さを感じ、触れてみるとまだかなりの熱を保っている状態でした。

窯の入口を開ける

やちむんを取り出すために、まずは密閉されている入口を開ける作業が始まります。

ハンマーなどで色見穴を密閉している土を取り除き、電球を入れて明かりをつけます。

窯内部に粘土やレンガが落ちないよう、慎重に取り除いていきます。

ブーラの内側にも一面に自然釉が。まるで溶岩のような雰囲気です。

やちむんが奏でる澄んだ音色

入口が開けられてから、かすかに聞こえてくる神秘的な音があります。チン、ともピーン、とも、言葉ではなかなかいい表現が見つけられない、ずっと聞いていたくなるような澄んだ音です。

これは貫入(かんにゅう)と呼ばれる、陶器の表面に見られる細かなひびが入る音。素地と表面にかけられた釉薬の膨張率と収縮率が違うために起こる現象だそうです。手前の青緑色の急須の表面に入っているものなのですが、おわかりいただけるでしょうか。

たくさんの時間と作業、思いを積み上げ、ようやくかたちになったやちむん。まだ熱の残るやちむんたちを手に取る瞬間、親方や陶工たちは何を思うのでしょうか。

やちむん・道具の運び出し

やちむんの並ぶ棚の前に積み上げられているのは、「さや」。火が直接当たるのを防ぐために置かれています。高温の炎にさらされているため、表面には自然釉がこびりつき、ひび割れなども起こっています。底面に見える白いものは、さやどうしがくっつかないようにつけられている耐火粘土です。

棚はこの段階では解体しませんが、前棚と呼ばれるエキストラの棚を組んだ場合は、後ろの棚の作品を取り出すためにも、棚板や支柱を一旦外へ出さなければなりません。

さやや棚板、支柱となっていたレンガなどをあっという間に運び出し、積み上げていく手際にも驚かされるばかり。

数分で熱中症になってしまいそうな熱気の残る袋の中、陶工たちは汗だくになりながら作業を進めていました。

やちむんはコンテナや段ボールなどにこれまた手際よく詰められ、軽トラックで各工房へ運ばれていきます。

この後、焼きが甘いものは再度ガス窯や電気窯で焼き直したり、高台(底)や口縁(縁の部分)を磨いたりといった工程を経て、使い手である私たちの手に届けられるのです。

おわりに

窯出しの模様をお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?

窯の中で土から陶器へと生まれ変わったやちむん。おそるおそる触れてみると、まだやけどしそうな熱を保っているものもありました。その熱は、1270度の炎に芯まで焼かれ、色見と同じように真っ赤な炎の塊となっていたことを静かに物語っています。

薪のくべ方、酸素の量、炎の当たり具合など、様々な要因で焼き上がりが変わるのが登り窯。置かれた位置が棚の手前なのか奥なのか、左側なのか右側なのかでも、釉の発色や質感、素地の色の焼き上がりが変わってきます。

こちらの写真のやちむんにかけられているのは、すべてペルシャと呼ばれる深い青色の釉。

同じ袋の中でも、置かれていた場所によってこんなに違いが出てくるのです。手前のエキゾチックな青がいい、という方もいれば、中ほどの少し緑がかった艶のある色に惹かれる方もいるでしょう。

すべて手作業で成形し、完全にはコントロールできない自然の力を借りる登り窯で焼き上げるということは、全く同じ形、同じ色のものを作ることはできないということ。歪みなど難のあるものが一定量出るデメリットも受け入れ、思ってもみなかったすばらしい出来栄えのものが生まれる可能性を残す、大らかでチャレンジングな方法だと感じます。そんなふうに生まれる北窯のやちむんが堂々たる風格と温かさをたたえているのは、自然の道理なのかもしれませんね。

次回は土づくり編に突入。全身泥まみれになりつつ土と水を混ぜ合わせる水簸(すいひ)と呼ばれる工程から、やちむんのもととなる陶土ができるまでを見ていきたいと思います。

水簸はやちむん作りの中でもかなり大変な作業。やちむんを見る目が、またがらりと変わるかもしれません。ぜひご覧くださいね。

 

これまでの記事はこちらから

 

やちむんの里の詳しい情報はこちら

 

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きゅう

言葉、文化、自然、習慣、その他諸々にカルチャーショックと感動を経験しつつ沖縄に住むことかれこれ20年超。すっかりなじんでいますが、一応九州産の移住者です。長く日常を過ごしているからこそ見える沖縄の素敵なもの、おもしろいものをご紹介していけたらと思っています。大好物はおいしいもの、歴史を感じるもの、旅行、取材。必要に迫られ、大の苦手だった英会話を勉強中です。

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