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歴史・文化

読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り【窯修理編・壁の構築】

前回までのおさらい

第9回となった「読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り」。

数か月にわたって沖縄県読谷村のやちむん(焼きもの/陶器)の里、読谷山焼・北窯にお邪魔して土作りや登り窯の修繕作業などの取材をさせていただいた記録をもとに、沖縄の生活になくてはならない日常の器に隠された物語をお伝えしています。

第8回では、本格的に登り窯の修理が開始。窯の屋根を作る際に必要な「にんじん」作りの様子、窯の壁の基礎となるレンガを敷く様子をお伝えしました。

詳しくはこちら

読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り【 窯修理編・基礎部分と「にんじん」作り】

今回は、レンガを積んで壁を作る作業をまとめます。

前回の記事の質問の答え、あなたは見つけられましたか?

「わかったよ!」という方も、「これかな?」という方も、まったくわからなかった方も、答え合わせをしつつ読んでいただけたらと思います。

狭間(さま/炎の通り道)を作る

登り窯の袋(ふくろ/焼成室)は狭間と呼ばれる炎の通り道でつながっています。熱と炎を効率よく上に連なる次の袋に伝える重要な部分です。窯の中でも特に高温の激しい炎にさらされるため、最も耐火度の高い36のレンガが主に使われます。

積み始めるのは、レンガ1個分ほどのスペースを空けたところから。これは、重力などで壁が歪んだりするのを最小限に防ぐためです。

北窯壁作り_2_レンガを積み始める基礎と面を合わせて積んだ場合はこちら。壁が前面に向かってふくらみ、倒れてきています。

北窯壁作り_3_壁が前面に向かってふくらんでいる

北窯壁作り_4_壁が前面に向かってふくらんでいるレンガ1個分を空けて積んだ場合がこちら。壁はまっすぐのまま、歪みもほとんどありません。

北窯壁作り_5_歪みのない真っすぐな壁

北窯壁作り_6_レンガ1個分空けているレンガどうしの接地面にモルタルを塗り、1段ごとにレンガの組み方も変えて強度を高めます。

北窯壁作り_7_レンガどうしの接地面にモルタルを塗る

北窯壁作り_8_レンガどうしの接地面にモルタルを塗る

北窯壁作り_9_レンガどうしの接地面にモルタルを塗る

北窯壁作り_10時折木材を当てて歪みや浮きを補正したり、微妙なずれや残存部分との兼ね合いでレンガを削ったりといった調整もすべて手作業でこなしながら、5段目までが組み上がるまで約半日。

翌日の午前中には中央を空けて前後にさらに2段のレンガが積まれ、狭間が完成しました。

北窯壁作り_11_木材を当てて歪みや浮きを補正

北窯壁作り_12

北窯壁作り_13

北窯壁作り_14

北窯壁作り_15

北窯壁作り_16

耐久性を高めた壁作り

お待たせいたしました。狭間の前回の記事でさせていただいた、こちらの図に隠れている窯を長持ちさせるポイントは何で、何のためなのか、という質問の答えです。

北窯壁作り_17_窯を長持ちさせるポイントの図面「何」→微妙な角度。

「何のため」→重力などによる壁の前傾を防ぐため。

傾斜地に築かれる登り窯の屋根は自然と下へと流れ、壁を圧迫して前傾させていきます。それをあらかじめ想定し、垂直ではなくやや後方に反らせた形で壁を作るのです。狭間を積み始める位置とともに、耐久性を高める工夫が盛り込まれます。

親方はその角度の目安になる道具も作成。

北窯壁作り_18_窯を長持ちさせるポイント

北窯壁作り_19_窯を長持ちさせるポイントこれに合わせて積まれた壁がこちらです。少し後方に傾いているのがおわかりいただけるでしょうか。

北窯壁作り_20_壁が少し後方に傾いている

北窯壁作り_21_壁が少し後方に傾いている

北窯壁作り_22_壁が少し後方に傾いている作業に立ち会えず実際の様子は目にしていませんが、バランスを保ちながら少しずつ角度をつけ、レンガを積んでいく作業にかなりの集中力と技術が必要なことは想像に難くありません。
それでも、狭間が仕上がってからほぼ1日という早業で大半が仕上げられていることには驚くばかりでした。

部分的な解体のため、残存部との連結もひと仕事。不規則な形に合わせてレンガを削ったり、隙間を埋める小さな破片を探したり、手間のかかる地道な作業の積み重ねでもありました。

北窯壁作り_23_残存部との連結

北窯壁作り_24_残存部との連結

北窯壁作り_25_残存部との連結

北窯壁作り_26_残存部との連結

入口に琉球石灰岩を積む

解体の際、頑丈に固定されていて撤去に苦戦した石組みも再構築します。
基礎にブロックを入れ、モルタルで固定。

北窯壁作り_27_基礎にブロックを入れ、モルタルで固定

北窯壁作り_28_基礎にブロックを入れ、モルタルで固定

北窯壁作り_29_基礎にブロックを入れ、モルタルで固定窯の外に仮置きされていた琉球石灰岩を運びこんでモルタルも加えつつ積み上げていくのですが、複雑な形の自然石ゆえにこれがなかなかの難問。

大きめの石をいちばん下に据え、その上に大小様々な石を安定するものどうし組み合わせていかなければなりません。北窯の敷地から新たな石も運び、積んでは崩し、崩しては積み、試行錯誤が続きました。

北窯壁作り_30_琉球石灰岩を運ぶ

北窯壁作り_31_琉球石灰岩を運ぶ

北窯壁作り_32_琉球石灰岩をモルタルで固定する

北窯壁作り_33_琉球石灰岩を積み上げていく

北窯壁作り_34_琉球石灰岩を積み上げていく数時間後、おおよそ定まった形がこちら。

北窯壁作り_35_琉球石灰岩を積み上げていく約1週間後、さらにレンガの高さまで石を積んで完成した状態がこちらです。

北窯壁作り_36_琉球石灰岩を積み上げて完成した状態

おわりに

こちらの作業と並行して、ブーラ(火入れの際、窯の入口をふさぐのに使う大きなレンガ)作りも行われていました。

わらを混ぜた原土をハンドボールよりも一回りほど小さいだんご状に丸め、

北窯壁作り_37_ブーラ作り

北窯壁作り_38_ブーラ作り

新聞紙を敷いた台の上で粘土を両側に把手のついた枠に詰め、突き固めます。

北窯壁作り_39_ブーラ作り

北窯壁作り_40_ブーラ作り

北窯壁作り_41_ブーラ作り枠の大きさぴったりの板で押さえつつ慎重に抜き取ります。

北窯壁作り_42_ブーラ作り

北窯壁作り_43_ブーラ作り

北窯壁作り_44_ブーラ

北窯壁作り_45_ブーラ前回お伝えした「にんじん」も同様ですが、窯にかかわるほとんどのものを自らの手で作り出し、工夫を重ねている北窯には毎度驚かされ、考えさせられることばかりです。

自分の手で作り、改善し、修理し、再利用する。その在り方は、何かが欲しいと思ったら買いに行き、壊れたら捨てるということが普通になってしまった現在にあって、とても稀有なもの。

北窯を訪れる際には、ぜひそういった部分にも注目していただけたら、と思います。

北窯壁作り_46_乾燥中のブーラ

北窯壁作り_47_にんじん

北窯壁作り_48_木箱

徐々に完成形が見えてきた登り窯。次回は屋根作りの様子をまとめます。身近にあるものを使って形作るアーチ、そしてようやく出番となるにんじんはどのように使われるのか。

楽しみにお待ちください。

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きゅう

きゅう

言葉、文化、自然、習慣、その他諸々にカルチャーショックと感動を経験しつつ沖縄に住むことかれこれ20年超。 すっかりなじんでいますが、一応九州産の移住者です。長く日常を過ごしているからこそ見える沖縄の素敵なもの、おもしろいものをご紹介していけたらと思っています。 大好物はおいしいもの、歴史を感じるもの、旅行、取材。必要に迫られ、大の苦手だった英会話を勉強中です。

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