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北窯解体_ 読谷_やちむん

歴史・文化

読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り 【窯修理編・解体】

前回までのおさらい

「読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り」も今回で第7回となりました。数か月にわたって沖縄県読谷村のやちむん(焼きもの/陶器)の里、読谷山焼・北窯にお邪魔して土作りや登り窯の修繕作業などの取材をさせていただいた記録をもとに、沖縄の生活になくてはならない日常の器に隠された物語をお伝えしています。

第6回の記事では、やちむんのもととなる粘土・陶土(とうど)作りの中でも一、二を争う重労働、「土出し」と呼ばれる作業の様子をご覧いただきました。赤茶色の泥の海に腰まで浸かっての作業。まだの方はこちらからぜひご一読ください。

詳しくはこちら

読谷山焼・北窯の登り窯とやちむん作り【土づくり編・土出し・仕上げ】

土づくり編を終え、今回から始まるのは窯修理編。なかなか目にすることのできない登り窯の大規模な修理の過程をまとめてまいります。基礎部分や壁、屋根のアーチなど、登り窯の内部構造・構築方法には様々な工夫と知恵が詰まっていました。

まずは修理に先立つ解体の様子から。ほとんどが人力で行われ、徹底して無駄を出さない北窯ならではの解体作業です。

準備

今回修理が行われるのは、5番と6番の袋。

読谷山焼・北窯 今回修理が行われる5番6番の袋

左手の6番の袋の屋根が下方へ流れ、ふたつの袋を仕切る壁もカーブしつつ前方に倒れて右手の5番の袋が圧迫されているためです。

あと2~3年は問題なく使える状態ではあるそうですが、登り窯、しかも北窯のように大型のものの作り方を知る機会は滅多にないもの。若い陶工たちにそれを教え、次世代へ引き継いでいく目的も兼ねているとのことでした。

まずは袋の入口付近に積まれているレンガやブーラを運び出し、袋の中に組まれている棚を解体して同様に運び出します。どれも重いはずなのですが、陶工の手から手へ次々と手渡され、パレットに積まれていくのはかなりのスピード。

この日はあいにくの雨で、道具類が濡れないようシートをかけながら作業が進められました。

読谷山焼・北窯袋の入口付近に積まれているレンガやブーラを運び出し

読谷山焼・北窯陶工の手から手へ次々と手渡されるレンガ

読谷山焼・北窯袋の中に組まれている棚を解体して運び出している陶工の方々

読谷山焼・北窯袋の中に組まれている棚

雨の日は道具類が濡れないようシートをかけながら作業している陶工の方々

こちらが棚をすべて撤去した後の5番の袋の様子。壁がせり出してきているのがおわかりいただけるでしょうか。

読谷山焼・北窯棚をすべて撤去した後の5番の袋の様子

読谷山焼・北窯壁がせり出してきている様子

読谷山焼・北窯床面を覆う為の板を運んでいる

読谷山焼・北窯床面を覆う為の板を1枚置いた様子

読谷山焼・北窯床面を覆う為に板を調整している

読谷山焼・北窯床面をすべて板で覆った様子

読谷山焼・北窯床板にブルーシートを敷いている様子

この後床面を覆うように板を敷き、その上にさらにブルーシートを敷いて準備は完了。

いよいよ解体です。

屋根の解体(破壊)、運び出し

解体はどこから始まるのか。その答えは入口のアーチ部分でした。中央にあるレンガをハンマーで叩いて抜くと、ほかのレンガが一気に外れます。

読谷山焼・北窯入口のアーチ部分に立ち解体作業を始める陶工の方々

読谷山焼・北窯中央にあるレンガをハンマーでたたいて抜き取る作業をしている陶工

読谷山焼・北窯入口アーチ部分の中央のレンガをハンマーで外している解体中の陶工

読谷山焼・北窯入口アーチ部分のレンガをハンマーで外している解体中の陶工

読谷山焼・北窯入口アーチ部分のレンガをハンマーで外している解体中の陶工

レンガの跡が残る屋根にハンマーが入れられ、本格的な解体作業が始まりました。

読谷山焼・北窯レンガの跡が残る入口部分

読谷山焼・北窯解体作業中の陶工の方々

5番と6番では、断面に違いがあります。

5番の断面には丸い棒状の土が積まれているのが見えますが、6番の断面にはそれがありません。

読谷山焼・北窯5番と6番の袋入口の解体の様子

読谷山焼・北窯6番の袋解体中の断面

読谷山焼・北窯丸い棒状の土が積まれている5番の袋の断面を解体中のマスクをした男性

通称「にんじん」と呼ばれるこの棒状の粘土で屋根を作るのは韓国の登り窯の構築方法で、以前に屋根を修理した際、新しい方法として試したのだそう。

解体の進みは6番に比べてとても早く、約2倍の速さで進んでいました。

読谷山焼・北窯で使用している通称「にんじん」と呼ばれる棒状の粘土

読谷山焼・北窯解体中の5番と6番の袋断面と作業している陶工の方々

ハンマーで叩いて崩してくため周囲には土煙がもうもうと立ちこめ、視界も悪くマスクをしていても息苦しいほどです。

読谷山焼・北窯土煙がもうもうと立ちこめている解体作業中の陶工

読谷山焼・北窯土煙がたちこめる中ハンマーで解体中のマスクをした陶工

陶工たちの足元はあっという間に瓦礫の山に。大きなものは抱えて、小さく砕けたものはバケツに集めて運び出します。行先は、きれいに清掃された登り窯の入口近くの広場。

瓦礫は当然廃棄されるものと考えていた私は、「なぜここに集めるのだろう」と不思議に思ってしまったのですが・・・。驚きの方法で再利用されるのです。

その様子は次回詳しくお伝えします。

読谷山焼・北窯陶工たちの足元に積みあがった瓦礫の山

読谷山焼・北窯解体小さく砕けた瓦礫

読谷山焼・北窯大きな瓦礫を抱えて運び出す様子

読谷山焼・北窯解体で集まった瓦礫をフォークリフトで運び出す様子

読谷山焼・北窯瓦礫を置く場所を高圧洗浄機できれいにしている様子

読谷山焼・北窯フォークリフトで運んできた瓦礫をテントの下におろす様子

夕方には屋根がほぼ取り除かれた状態になりました。

読谷山焼・北窯アーチの屋根部分がなくなった解体作業中の様子

読谷山焼・北窯解体で屋根がほぼ完全に取り外された状態

壁の解体、運び出し

読谷山焼・北窯解体で屋根がほぼ完全に取り外された状態

「狭間(さま)」と呼ばれる火の通り道を備えた袋と袋を仕切る壁は、耐火レンガを積んで作られています。

こちらは少しの力で外すことができ、ハンマーで壊す必要はないので、解体はスムーズに進んでいました。

読谷山焼・北窯狭間(さま)と呼ばれる火の通り道を備えた袋と袋を仕切る壁

読谷山焼・北窯耐火レンガを手作業で外す様子

読谷山焼・北窯仕切り壁の耐火レンガを手作業で外す様子

割れてしまったものや傷みのひどいもの以外は再利用されるようで、陶工たちの手で手際よくパレットに積まれ、運び出されていきます。

読谷山焼・北窯解体 レンガ再利用できるものとできないものを分別している様子

読谷山焼・北窯解体 陶工たちの手で手際よくパレットに積まれていくレンガ

読谷山焼・北窯 パレットに積まれたレンガ

狭間周辺は、窯焚きの際の自然釉(高温の炎で薪の灰が溶け、釉薬のようになったもの)がこびりついて癒着しているものも多く、時折ハンマーの出番も。

読谷山焼・北窯解体 狭間周辺、自然釉がこびりついて癒着しているレンガ

読谷山焼・北窯解体 狭間周辺、自然釉がこびりついて癒着しているレンガを外す陶工

窯焚きの際の自然釉がこびりついて癒着しているレンガ

自然釉がこびりついて癒着している部分をハンマーで解体する陶工

床部分のものを残し、きれいに取り除かれていきます。

読谷山焼・北窯解体 床部分のものを残しきれいにする陶工

読谷山焼・北窯解体 床部分のものを残しきれいにしていく段階

読谷山焼・北窯解体 床部分のものを残しきれいに取り除いた様子

入口の石組みの解体

入口の石組みはブロックの基礎の上に大小の琉球石灰岩を積んで作られています。こちらの解体はバールやハンマー、ドリルを使って進められました。

登り窯の足元は傾斜があるため、大きく重い石やブロックを扱うのは危険と隣り合わせ。いつもに増して慎重に、声をかけあいながらの作業でした。

読谷山焼・北窯 入口の石組み琉球石灰岩の解体をする陶工

読谷山焼・北窯 入口の石組み琉球石灰岩をハンマーをで解体する陶工

読谷山焼・北窯 入口の石組み琉球石灰岩をハンマーをで解体する陶工

読谷山焼・北窯 入口の石組み琉球石灰岩をドリルで解体する陶工

基礎のブロックは金属の棒でもがっちりと固定されており、ドリルやハンマー、てこの原理も総動員して何とか解体。

こちらも再利用までの間一旦窯の外へ運ばれます。

読谷山焼・北窯解体 金属の棒でがっちりと固定されている基礎ブロックをバールを使って解体する陶工

読谷山焼・北窯解体 金属の棒でがっちりと固定されている基礎ブロックをバールを使って解体する陶工

読谷山焼・北窯解体 金属の棒でがっちりと固定されている基礎ブロックをドリルを使って解体する陶工

読谷山焼・北窯解体 金属の棒でがっちりと固定されている基礎ブロック

読谷山焼・北窯解体 金属の棒でがっちりと固定されている基礎ブロックをハンマーでたたく陶工

読谷山焼・北窯 解体された基礎ブロック窯の外へ運ぶ陶工の方々

屋根と壁、石組みまですべての解体が終わった状態がこちら。古い遺跡が姿を現したような、どことなく厳かな雰囲気が感じられました。

読谷山焼・北窯解体 屋根と壁、石組みまですべての解体が終わった状態

まとめ

読谷山焼・北窯解体修理後の写真

2019年の年明けすぐに始められた解体作業。2018年11月末の火入れから窯出し、12月半ばの陶器市から年末の水簸(すいひ)と、大がかりな共同作業が続いています。

北窯のサイクルは登り窯への年4回の火入れを中心に動いており、次の火入れは3月26日。2つの袋の修理を、3か月弱で終わらせなければならない計算なのです。

すべてを壊して作り直すわけではないため、解体は残りの部分に負荷がかかって傷んでしまわないよう慎重に行わなければなりません。この部分までは解体し、ここからは残す、というラインを事前に確認し、境界に近い部分はドリルなどで細かく削っていました。作業を先導する親方の表情も真剣そのもの。

読谷山焼・北窯修理 作業をする親方の真剣な表情

読谷山焼・北窯解体 作業を先導する親方の真剣な表情

読谷山焼・北窯解体修理終了後の様子

陶土の乾燥や水簸などの作業も同時進行しつつ、解体作業は約3日間でほぼすべて終了しました。この後、いよいよ窯の修理が始まります。

屋根の瓦礫を細かく砕いたものを使う「にんじん」作りや基礎部分の修理の様子から、順を追ってお伝えしたいと思います。

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きゅう

きゅう

言葉、文化、自然、習慣、その他諸々にカルチャーショックと感動を経験しつつ沖縄に住むことかれこれ20年超。すっかりなじんでいますが、一応九州産の移住者です。長く日常を過ごしているからこそ見える沖縄の素敵なもの、おもしろいものをご紹介していけたらと思っています。大好物はおいしいもの、歴史を感じるもの、旅行、取材。必要に迫られ、大の苦手だった英会話を勉強中です。

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