どんなお祭り?
1月1日~3日に首里城を舞台に行われる、日本本土とは少し違った沖縄ならではのお正月気分を満喫できるイベント。明・清時代の中国の影響を色濃く受けた琉球王朝時代の雰囲気を体感できる貴重な機会です。
2021年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、例年行われてきた泡盛の試飲、甘酒やさんぴん茶の振る舞い、旗頭の演舞といった催しは行われませんでした。
2020年の年明けにはまだ立ち入れなかった御庭(うなー)も開放され、訪れた方々が進みつつある復興の様子を実感できる場にもなっていた印象です。
2020年の新春の宴の様子はこちらの記事でご覧いただけます。
何ができるの?
琉球王朝の歴史と文化がたっぷり詰まった各プログラムに加え、首里城復興へ寄せられる思いへの感謝が込められた展示なども行われました。それぞれ詳しく見てみましょう。
国王・王妃出御(しゅつぎょ)
こちらを目当てに訪れる方も多い人気の催し。昨年は楽の音とともに奉神門(ほうしんもん)が開き、姿を現した国王・王妃が広福門(こうふくもん)までを進む形でしたが、今年は世誇殿(よほこりでん)前での開催でした。
美しい王妃、威厳ある国王の姿を一目見ようとかなりのお客さんで混み合いますので、開始15分前にはスタンバイしておくのがいいでしょう。観覧の際はスタッフさんの指示に従うようにします。
王妃と国王は観客が写真撮影できるよう3か所で立ち止まります。「真正面から見たい」「ベストな位置で写真を撮りたい」という場合は、世誇殿を中央に見る場所か、世誇殿に向かって右端に位置取りを。
開催日時:1月1日~2日 10:30~、13:30~、15:30~ ※各回約15分
開催場所:世誇殿(よほこりでん)前 ※有料区域
御座楽(うざがく)演奏
御座楽とは、琉球王朝時代、中国皇帝の代理人である冊封使(さくほうし/さっぽうし)歓待の宴など首里王府の公式行事に用いられた音楽のこと。屋内で座って演奏されたことからこの名で呼ばれています。琉球王朝の終焉とともに失われてしまいましたが、様々な調査や研究により復曲が実現したそうです。
使われる楽器はすべて中国のもので、奏でる音色ももちろん中国風。琉球王朝禮楽(れいがく)研究会の皆さんにより演奏されます。
開催日時:1月1日~2日 9:00~、10:00~、11:00~ ※各回約15分
開催場所:系図座(けいずざ)・用物座(ようもつざ)
琉球芸能の宴(琉球舞踊、琉球古典音楽演奏)
祝賀の際の座開きとして踊られる「かぎやで風」をはじめ、王府の役人が首里から薩摩(さつま/現在の鹿児島県)へ上る船旅の様子を描いた「上り口説(ぬぶぅいくどぅち)」などの琉球舞踊、廃藩置県後に生まれた沖縄芝居から派生した雑(ぞう)踊りと呼ばれる庶民の踊りも披露されます。
2021年は沖縄美ら島財団、首里伝統芸能文化協会、沖縄県立芸術大学、琉球伝統芸能デザイン研究室の皆さんが出演されました。
午後からの開催なので、屋根のない観覧席で西に傾いていく太陽の光に向かって舞台を見る形になります。冬だからと油断せず、サングラスや日焼け止めなどの紫外線対策は必須です。
今年は雨混じりの曇り空で肌寒く感じた午前中とは打って変わって、午後は晴れ間がのぞき、暑さを感じるほどになりました。調節が簡単な服装で出かけられるといいと思います。
開催日時:1月1日~2日 13:00~、14:00~、15:00~、16:00~ ※各回約30分
開催場所:系図座(けいずざ)・用物座(ようもつざ)
首里城「朝賀(ちょうが)の儀式」パネル展
琉球王朝時代に正殿前で執り行われていた元旦の儀式「朝拝御規式(ちょうはいおきしき)」を再現したイベント。国王・王妃をはじめ百官が参列する荘厳な儀式の様子を、パネルで紹介しています。
多くの写真とともに解説も添えられ、わかりやすい内容の展示でした。
開催日時:1月1日~3日
開催場所:首里杜館B1階ビジターロビー
首里城応援寄書き・作品展
首里城に全国各地から寄せられた応援メッセージや思いのこもった作品をお披露目。イラスト、切り絵、千羽鶴など様々な作品が展示されていました。
開催日時:1月1日~3日
開催場所:首里杜館1階
今しか見られない首里城の姿
火災の後片付けが進む正殿や御庭(うなー)周辺。復興への歩みを示す様々な展示をご紹介します。
火災の爪痕
正殿の柱の跡や焼け残った装飾の一部の展示は有料区域内で継続されています。
「復興展示室」では首里城正殿の獅子瓦や高欄(こうらん/手すり)の装飾、小龍柱(しょうりゅうちゅう)などが展示されています。
火災による損傷は痛々しいものがありますが、見方を変えれば、美しい色合いや細部までこだわった意匠を間近に見られるめったにない機会。首里城に関する映像も流れ、関連書籍やグッズを購入できるショップも併設されています。
首里城正殿基壇遺構(きだんいこう)公開
2019年の火災で焼け落ちた正殿の一部や灰などを取り除き、保護のために土で埋め戻して、屋根をつけた状態で公開。ガラス越しにではありますが、15世紀に作られた首里城の土台を四方から確認できます。
3回の火災に見舞われ、少なくとも7回は建て替えられた痕跡も残されているそうです。
大龍柱(だいりゅうちゅう)補修展示
火災に堪えて立ち続けていた大龍柱はひび割れなどの補修作業が昨年中に完了。新しい大龍柱の見本として活用される2年後まで、無料区域である下之御庭(しちゃのうなー)に展示されています。
間近に見る龍は大迫力。風化防止の薬剤のため少し黒っぽく見えるそうですが、徐々に元の色を取り戻していくそうです。
持っていくべきものや気をつけたいことは?
1月の沖縄、屋外がメインの会場となる新春の宴。どんな服装で出かけたらいいか、また、少しだけ足をのばして楽しめる絶景ポイントなどもお伝えします。
意外に寒い沖縄の冬。たくさん歩くことも念頭に、調節可能な服装で
首里城は東京ドームに相当する広さを持つ城郭。入口となる守礼門から国王・王妃出御が行われる有料区域まで、ゆるやかではありますが上り坂をかなり歩くことになります。
階段にも傾斜があり、雨などの場合は滑りやすくなるので、歩きやすいスニーカーで訪れるのがベストです。
1月は沖縄の短い冬。日中は汗ばむほどの陽気になることもありますが、曇りや雨の場合が多く、冷たい風が吹きつけて気温よりもかなり寒く感じる時期です。手袋までは必要ありませんが、ウインドブレーカーなどは準備しておくことをおすすめします。
1年を通して日焼け止めやサングラスなどの紫外線対策は必須。飲みものなどは各所に自動販売機もあり、首里杜館内のレストランなども利用できます。
公共交通機関の利用がベター。東西の物見台も必見
例年では、午前中には駐車場は満車になり、周辺道路では渋滞も発生していました。今年はコロナウイルス感染症の影響によって規模が縮小されたこともあり、1月2日の午後でも渋滞はなく駐車場にもまだ空きがありました。
来年以降はまた状況が変わるかもしれませんので、可能な限りバスやモノレール、タクシーを利用するのがおすすめです。メインとなる国王・王妃出御と琉球芸能の宴の開催時間を中心に予定を組んでくださいね。
合間には物見台の西(いり)のアザナや東(あがり)のアザナなどの散策を。
東(あがり)のアザナは有料区域内なので、国王・王妃出御の前後に足をのばしてみてください。天気に恵まれれば、久高島も望める絶景ポイントです。
首里杜館内のレストランや休憩所でゆっくり過ごすこともできます。
情報
開催日時
2021年1月1日(水)~1月3日(金)
※悪天候などにより、プログラムの変更や中止の場合あり
住所
那覇市首里金城町1-2
問合せ先
首里城公園管理センター
電話: 098-886-2020
入場料
無料
※有料区域は入場料が必要
一般大人400円、高校生300円、小・中学生160円
6歳未満無料、70歳以上の沖縄県民無料(試行中。免許証等持参のこと)
※年間パスポートあり
一般大人800円、高校生600円、小・中学生320円
2021年の首里城新春の宴期間中は県民割引あり。
大人1名400円→320円、高校生300円→240円、小・中学生160円→120円に。
窓口で、免許証や学生証、保険証など住所の確認できる身分証明書を提示してください。券売機は一般料金にしか対応していないため、必ず窓口で購入を。
アクセス
【車で向かう場合】
那覇空港から車で約50分
駐車場
あり(有料)
営業時間:8:00~18:00
普通乗用車:最大116台(1台320円)
大型車:最大46台(1台960円)
その他近隣に有料駐車場あり
カーナビ設定
マップコード:33 161 526*71
【那覇空港から公共交通機関を利用して向かう場合】
モノレール
沖縄都市モノレール「ゆいレール」首里駅下車。徒歩約15分。
バス
- 首里駅前バス停から市内線1・14・17番、または市外線46番に乗車し、首里城公園入口バス停下車。徒歩約5分で守礼門に到着。
- 首里城下町線7・8番に乗車し、首里城前バス停下車。徒歩1分で守礼門前に到着。
参考:バスマップ沖縄
2021年は火災や新型コロナウイルス感染症の影響でイベント内容が大幅に縮小されたこともあって、目立った混雑はありませんでしたが、例年は県内外から多くの方が足を運びます。
通常開催の場合渋滞が発生し、首里城併設の駐車場はもちろん、周辺にある有料駐車場も連日午前中の早い時間に満車になってしまいますので、車で向かう場合は9:00頃までの到着で予定を組むのがおすすめです。
ゆっくり出かけるのであれば、公共交通機関を利用するのがいいでしょう
地図
ストリートビュー
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まとめ
こちらの記事では、2021年の首里城公園新春の宴について、以下の内容をお伝えしました。
- 首里城公園新春の宴は、1月1日~3日に首里城を舞台に行われる、琉球王朝時代の雰囲気と沖縄ならではのお正月気分を満喫できるイベント。コロナ禍で規模を縮小して行われているが、復興へ向かう姿を実感できる場になっている
- 国王・王妃出御、御座楽(うざがく)や琉球芸能のほか、火災以前に正殿前を舞台に再現されていた「朝賀の儀式」のパネル展や首里城応援寄書き・作品展も開催
- 世界遺産登録の正殿基壇遺構(せいでんきだんいこう)、火災で損傷した大龍柱や正殿装飾の展示など、今だから見られる首里城の姿もある
- 屋外がメインの会場。沖縄の短い冬で天候も思わしくないことが多いので、防寒できる上着に調節の簡単な服装、足元はスニーカーが基本。合間の時間には東西のアザナ(物見台)からの景色を楽しむのもおすすめ
少しずつ進む復興の歩みを、正殿周辺を中心に示しながら行われた新春の宴。2020年秋の首里城祭の折にも好評だった県民割引も行われ、多くの方が足を運んでいました。破損した瓦を活用してのイベント企画も進行している様子。日々進んで行く再建の道のりを見守り、応援していきたいですね。
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