旧暦4月27日に鳴らされるハーレー鉦に始まる初夏の風物詩、糸満ハーレー。
日曜開催となった2018年は約4万人の観客が訪れ、御願(ウグァン)バーレー、クンヌカセー(転覆競漕)、アガイスーブ、アヒル取り競争といったプログラムを楽しみました。
「御願(ウグァン)に始まり御願に終わる」。糸満の海人(ウミンチュ=漁師)たちが大切に受け継いできた祈りの姿にも心を動かされる、糸満ハーレーの様々な魅力。プログラムや2018年の結果、駐車場などの情報も交えてご紹介したいと思います。
糸満ハーレーって?
旧暦5月4日、ユッカヌヒー(四日の日)に豊漁や海の安全を願って行われる、サバニ(小型の漁船)を使った競漕の伝統行事。揃いのハーレーギン(衣装)に身を包んだ現役海人や若者たちによる勇壮なエーク(櫂)さばき、白熱するレースを楽しみに毎年数万人の観客が訪れる人気のイベントです。
海人の信仰とも関わりが深く、神事としての側面も色濃く残しています。ユッカヌヒーは子どもたちの健やかな成長を願い玩具を買い与える日であった名残から、会場内の屋台には玩具店が多いのも特徴。
ハーレー?ハーリー?何が違うの?
「ハーレー」「ハーリー」はどちらも爬龍船(はりゅうせん)(舳先に竜頭などの装飾をつけた比較的大型の船)やサバニを使った競漕を指します。一般には「ハーリー」の方が多く使われますが、糸満市は海人たちが伝統的に使ってきた「ハーレー」を尊重し、1977年以降呼び名を「糸満ハーレー」に統一したということです。
何ができるの?
西村・中村・新島の3つのムラにより競われる本バーレー、門中(父方の血族でつながった集団)・中学生・職域(地元の企業や飲食店など)ハーレー、誰でもその場で参加できる人気のアヒル取り競争など、見どころ満載のレースが目白押し。2018年の主な結果も載せています!
1. 糸満ハーレーの幕開け・海への感謝、安全への願いを込めた祈りから始まる競漕
御願(ウグァン)バーレー
糸満ハーレーの幕開けとなるプログラム。御願(ウグァン)とは沖縄の言葉で祈りや祈願のことです。初めに糸満市街を一望できる高台、山巓毛(さんてぃんもー)で御願の儀式がとり行われ、港へ向けて振り下ろされる旗を合図にレースがスタート。
ハーレーシンカ(ハーレー船に乗り組むメンバー)は通常漕ぎ手、舵取り、鉦打ちのみですが、これにデ―フィと呼ばれる旗振り役が加わります。レース後は字糸満の氏神、白銀堂(イービンメー)でそれぞれのムラのハーレー歌が奉納され、近くの海岸で神人(カミンチュ=沖縄の信仰、神事を司る神職)が竜宮の神に御願バーレーが無事終わったことを報告する習わしになっています。
2. 海の男の技術とチームワークがものを言う・転覆からのレース再開
クンヌカセー(転覆競漕)
プログラム終盤(2018年は14時すぎ)に行われる、インパクト大のプログラム。レースの途中、全員が海に飛び込んでわざと船を転覆させた後、素早く乗り込んでまた漕ぎ出していきます。
漁の最中にアクシデントで転覆した際の技量を競う、海人のまちならではの豪快なレースです。3チーム全ての船が波飛沫をたててひっくり返る様子は、わかって見ていてもかなりの衝撃。その後ハーレーシンカたちが再び乗り込み、サバニを進め始めるまでの鮮やかな動きにはさらに驚かされます。
3. 場内の熱気は最高潮!漕ぎ手たちが躍動する2kmを超える大レース
アガイスーブ
アガイスーブ=「上がりの勝負」。糸満ハーレーの最後を飾るレースです。
通常のレースは850mで競われますが、アガイスーブは2150mとその倍以上。
操船技術が問われる折り返しの回数も多く、各ムラから選り抜きの漕ぎ手が出場して優勝を目指します。全レース中、漕ぎ手も観客の応援も最も熱が入るいちばんの見どころです!各ムラの船がハーレー歌を歌いながら港内中央の村船(現在は行事委員会の本部船)を左回りに3周する厳かな儀式から始まり、勝敗が決した後はヌン殿内(糸満のヌル=ノロ、カミンチュの家)でハーレーシンカたちがムラごとにハーレー歌を奉納して締めくくられます。
4. 港内が一瞬にして大混雑。誰でも飛び入り参加OKの大人気プログラム
アヒル取り競争
大人も子どもも港を囲む岸壁から次々にダイブ、港内に放されたアヒル、ぷかぷかと浮かぶスイカやボール(もずくに交換できる)を目指して一目散!誰でも文字通り飛び入り参加できる、大人気のプログラムです。
アヒルは滋養強壮に良いとされ、沖縄で古くから食されている薬膳の素材。ハーレーは約600年前の中国から伝わったという説が有力ですが、中国福建地方の競渡(競漕)でもアヒル取り競争が行われていた記録があるようです。体力、泳力に自信のある方はぜひチャレンジを!
万一に備え浮き輪の設置やジェットスキーでの巡航も行われています。
5. 2018年の総合優勝は西村!本バーレー、職域ハーレーなどの気になる結果、まとめました
2018年糸満ハーレーの主な結果
御願バーレー | 優勝 | 西村 |
青年団ハーレー | 優勝 | 西村 |
中学生ハーレー | 優勝 | 西村 |
クンヌカセー | 優勝 | 西村 |
アガイスーブ | 優勝 | 西村 |
総合優勝 | 西村 |
職域ハーレー | 1位 | 沖縄サーフライダース連盟 |
2位 | 志良堂土建(新屋敷区旗頭) | |
3位 | 南部電工株式会社 |
必要なもの、持っておくと良いものは?
水、日焼け止め、タオル、長袖、帽子、サングラスは必須です。長時間の観戦を考えているのであれば、日傘や敷物、アウトドア用の小さな椅子があると便利でしょう。
糸満ハーレーは例年梅雨明け前後の旧暦5月4日、5月下旬から6月頃の開催。湿度も高く、陽射しもかなり厳しい時期なので、くれぐれも日焼けと熱中症への対策を入念にしてください。
有料テント席や多少の日陰はありますが、2018年には約4万人が訪れ、場内は立っているだけで汗が流れだす蒸し暑さでした。日傘は混み合っている場所や観戦中にはさしづらい場合もあるので、帽子やサンバイザー、露出の少ない服装で備えておくのが良いと思います。アヒル取り競争に参加したくなった時のために、水着もあるといいかもしれませんね。
詳細情報
開催日時
旧暦5月4日(5月下旬から6月頃)
9:15~16:00(競漕開始は10:00~)
開催場所
糸満漁港中地区
出典:糸満ハーレー行事委員会
入場料
無料
テント内有料観覧席あり(半日¥500)
問合せ先
主催
糸満ハーレー行事委員会(糸満漁業協同組合内)
住所
〒901-0361 沖縄県糸満市糸満603−1(糸満漁業協同組合)
電話
アクセス
【車】
那覇空港より車で約25分
カーナビ設定
MAPCODE 232 455 370*68
【駐車場】
あり(会場までのシャトルバスあり)
糸満市役所 糸満市潮崎町1-1 ※約20分間隔
漁港北地区 糸満市西崎町1-4-11 ※約10分間隔
【地図】
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まとめ
御願バーレーからアガイスーブまで全てを観戦しようとすると丸一日の長丁場になりますので、ぜひこまめに休憩と水分補給をしてください。お食事時には会場いっぱいに並んでいる屋台や糸満市内の商店街へ。シャトルバスを利用して漁港北地区まで行き、徒歩5分弱の道の駅いとまんで涼むのも良いかもしれません。
シャトルバスは始発が9:00。糸満市土地改良区合同事務所前で降車し、ハーレー会場まで少しだけ歩きます。糸満市役所であれば20分間隔、漁港北地区からであれば10分間隔で往復運行していて、会場からの最終便は16:00発でした。
観光客の姿もありますが、家々のベランダや道端から観戦する姿、出場する家族や友達、職場の同僚を応援するたくさんの人々が印象的でした。中高生のハーレーも相当な練習を積んだ動きで大人顔負けの迫力。職域ハーレーには何と54ものチームがエントリーしていて、大切に受け継がれた地域の行事なのだと感じます。
海を敬い、海とともに暮らしてきた海人たちの年に一度の祭典。ひたむきにエークを操る彼らの姿、必見です。
2016年の記事はこちら。ハーレーや海人の歴史などについても詳しく載っています!ぜひご覧ください。
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