どんなところ?
那覇から約1時間、沖縄本島中部の西側に位置する読谷村(よみたんそん)。人口は41,591人(2020年6月末現在)と日本で一番人口の多い村です。
西側は東シナ海に面し、手を加えられていない砂地や崖の自然海岸が多く残り、村の北端には観光名所「残波岬(ざんぱみさき)」があります。
また東側には緑濃い山並みがあり、豊かな自然環境が残っています。世界遺産の「座喜味城跡(ざきみじょうあと)」、沖縄の焼き物(陶器)の工房が集う「やちむんの里」、国の重要無形文化財に指定された織物「読谷山花織(ゆんたんざはなうい)」など、伝統や文化の魅力にもあふれた村です。
そんな読谷村の海岸沿いに、読谷の海を、読谷の自然をたっぷりと感じることができるカフェが誕生しました。
お店の特徴
圧巻のスケールを誇る海カフェ
まるで美術館のような近代的な建物に入る通路を抜けると、一気に目の前に広がる水平線。その景色を存分に楽しむことができる海カフェが「星野リゾートバンタカフェ」です。
「沖縄の海」と聞いて思い浮かべる、サンゴ礁に囲まれた浅い海のことを沖縄では「イノー」と呼びます。その「イノーを見渡す特等席」をコンセプトに作られたカフェは、全席から海を感じることができます。
敷地面積は1600㎡、テニスコートにするとなんと約8面分の広さで国内最大級とのこと。海岸から少し高さのある崖上に建てられたフロアからは、水平線が一望でき、そのままビーチへ降りることもできます。自然の地形をそのまま生かしたお店の作りが、あとでご紹介するような他では見ることのできない特別な空間を生み出しています。
波の音が反響する開放的な「大屋根デッキ」
船のデッキから海を眺めているような気分になる高台の空間は、「大屋根デッキ」と名付けられました。思わず見上げてしまう天井は、温かみのある風合いで広々とした空間を作り出しています。
なんといっても水平線まで一望できる広いテラスからの景色は開放感にあふれています。
私のおすすめは夕方以降の時間帯。波の音がホールのように反響し、波音に包まれるような感覚に。夕日が沈むころ、目をつぶって波の音に耳を傾ける、そんなゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
自分だけの特等席が見つかるバリエーション豊かな座席
自然の地形を活かして作られたバンタカフェには、その日の気分に合ったお気に入りの場所を見つけられる、変化に富んだ座席が設けられています。先に紹介した「大屋根デッキ」を含む4種類の個性的な座席空間が広大な敷地に点在しています。
ここではあと3種類をご紹介いたします。
海辺のテラス
一番海を近くに感じることのできるテラスです。
琉球畳をイメージした床に座布団があり、靴を脱ぐ小上がりスタイル。屋外ですがよく風が通り、日中は思った以上に涼しく過ごせます。日が傾いてくると西日が差し込み、また違った雰囲気になります。
潮の満ち引きにより海の情景も変化。うつろう景色を眺めていると、時間が経つのを忘れてしまいます。
一番海に近いあずまやは、砂浜から上がる階段の下まで潮が満ちることもあるそうです。こちらは板張りになっていて、多少濡れていても気にせずくつろげる空間になっています。
岩場のテラス
なかなか他では見られない個性的な空間。自然にあった空間をそのまま生かして、座席になるウッドデッキを組んだそうです。
岩のひんやりとした質感、土の匂い、木々の深い緑、沖縄の自然を感じ冒険心がくすぐられる空間です。
ゆらゆら揺れるチェアに座ると、空だけでなく木々の間から海も見えます。お子さまだけでなく、お父さんもワクワクして遊んでしまうそうですよ。
ごろごろラウンジ
屋内で空調が効いているので、雨の日も暑い日も快適に過ごせます。
奥行のあるソファは、名前のとおりごろごろしたくなること間違いなし。一面ガラス張りの窓から見える景色は、深い緑と青く澄んだ「イノー」。
ごろごろしていても、席の正面にある通路を歩く人からは見えないようになっていて、存分にくつろげるように考え尽くされた空間に、つい気が緩んでしまいそうです。
持ってきた絵本を読みながらお子さまと一緒にのんびり過ごす、そんなことも叶いそうです。
とっておきの自分の空間
座席はたくさん用意されていますが、バンタカフェの広大な敷地と豊かな自然の中に、座席ではない自分だけの空間を見つけるのも楽しみ方のひとつ。
すぐ近くに岩場もあり、もちろん砂浜にも座れるので、自分のお気に入りの場所を見つけられそうです。
岩場に行かれるときは、海藻で足元が滑りやすく、また座っているうちに潮が満ちて来るときもありますので、十分に気をつけた上で楽しんでくださいね。
セルフサービス
入口の通路を抜けると開放的な「大屋根デッキ」が広がり、カフェカウンターがあります。
トレーの返却もセルフとなっています。施設内に2か所(大屋根デッキ・ごろごろラウンジ奥)にある返却台もしくは、巡回しているスタッフに渡すことも可能です。
夕日が格別
西海岸に面しているので、天気のよい日は水平線に沈む夕日をたっぷりと堪能できます。
日の入りから1時間後に閉店という、夕日を楽しむための営業時間も素敵ですね。サンセットタイム限定(17時~)のカクテルも提供されるので、大切な人と特別な時間を過ごすこともできそうです。
自然にやさしい
「岩場のテラス」でもご紹介いたしましたが、バンタカフェはなるべく自然のありのままの姿を残すようにと建設されています。
またすべてのメニューを、さとうきびの茎や葉から作られた植物由来の「バガス」、リサイクルPET使用のプラスチックカップと、自然環境を考えた使い捨て容器で提供しています。
自然をたっぷりと感じられる場所が、自然のことを大切にしている施設というのは、安心して利用できるポイントです。
メニュー
マンゴーやパイナップルを使った南国らしいスイーツや手軽に食べられるフードなど、沖縄を感じることのできるメニューが提供されています。
なかでも目を引かれるのが、ふわふわの泡がのった沖縄の伝統的な「ぶくぶく茶」からヒントを得た「ぶくぶくジュレソーダ」。カラフルなジュレが、レモングラスやミントが香るソーダに浮かぶ爽やかな一品です。
ぶくぶくとした白い泡が上に乗り、心躍るかわいらしさにおもわず写真を撮りたくなります。ハーブを使っていますが甘さもあり、ジュレもやわらかいのでお子さまでも飲めそうです。
「うちなーピザトースト」は、オリジナルのデニッシュパンにゴーヤーとたっぷりのチーズが乗ったピザトースト。ゴーヤーがしっかり存在感を放ちながら、他の具材と絶妙のバランスです。厚切りのパンはしっかり食べ応えもあります。
「ポーク玉子おにぎり」は、アーサー入りのたまごが彩りよく、断面の美しさに見とれてしまいます。それぞれシェアして食べるのもいいですね。
冷たいものが欲しいときには「ちゅらーと」というジェラートもあります。味はマンゴー・グァバ・パイナップル・黒蜜・ジーマミ(落花生)・ミルクの6種類。シングルとダブルが選べます。
カフェに欠かせないコーヒーは、沖縄の気候に合わせたバンタカフェオリジナルブレンドで、すっきりとした後味です。
また、朝8時にオープンするので朝食も楽しめます。この景色を見ながら朝ご飯をしっかり摂れば、一日の力がみなぎってきます。
しっかり朝食派の方には、ポーク玉子おにぎりかクロックムッシュからメインを選べる「バンタカフェの朝ごはん」がおすすめ。メインにサラダ・スープ・ドリンクがついて、朝からバランスよく食べることができます。
朝は軽めに、でもビタミンはしっかり摂りたいという方には、「南の島のフルーツボール」がぴったり。キャラメリゼされたバナナとトロピカルフルーツ、ヨーグルトと合わせたシリアルが入っています。たっぷりのフルーツが楽しめ、ドリンクもついています。
子連れ情報
こちらのカフェは子連れでも利用しやすい雰囲気です。カフェメニューは、親子でシェアするのも楽しみ方の一つ。
マンゴーとドラゴンフルーツが食べられるお子さまには、こちらの「ふわふわフローズンフルーツ」がおすすめです。沖縄らしいカラフルな色合いのフルーツは見た目に楽しく、また冷たい食感は暑さを吹き飛ばしてくれます。
小腹が空いたお子さまには「タンカンチキンウイング」がおすすめ。南国のみかんといわれるタンカンの甘く爽やかな香りがふわっと広がり、しっとりジューシーな仕上がり。
お子さまが食べるときに気になる骨も、大きな2本の骨は取ってあるので食べやすくなっています。
キッズチェアはありませんが、「ごろごろラウンジ」や「海辺のテラス」はフラットな座席ですので、お子さまも利用しやすい空間となっています。
「ごろごろラウンジ」はカフェカウンターからスロープでアクセスでき、トイレへも近い距離にあります。ベビーカーや車いすもそのままカウンターテーブルに付けられるところもあるので、子連れや車いすの方も利用しやすくなっています。ソファは少し高さがありますので、ハイハイ・つかまり立ちができるくらいのお子さまは落ちないようにお気をつけください。
おむつ替えは、「大屋根デッキ」にある多目的トイレにて可能です。
各テラスへの通路は歩きやすく整備された階段です。お子さまやお子さまを抱っこしているお母さんの見えにくい足元には十分お気をつけください。
また、たくさんの自然が残されていますので、親子で探索するのも楽しいひと時です。
敷地内は細やかなところまで清掃や植物の手入れなど行き届いていて、快適な空間となっています。自然はなるべくそのままの姿をということで最低限の手入れにて残されていて、お子さまの手の届く範囲や腕・顔の高さで間近に南国の植物を見られることも醍醐味です。
中にはトゲがあるものもありますので、お子さまの触れるもの・足元など、けがをしないように十分お気をつけください。
新型コロナ感染症対策
新型コロナウイルス感染症への対策もなされています。
随所に手指消毒用アルコールが置かれています。また営業時間内にも定期的にアルカリ電解水による清掃と拭き上げが実施されているとのことです。海に向かって横並びで座ることで対面を避けることができ、座席数も開店時の予定より減らし、ソーシャルディスタンスを保てるようになっています。
施設情報
名称:星野リゾート バンタカフェ
住所:〒904-3027 沖縄県中頭郡読谷村儀間560
電話番号:098-921-6810(座席の予約は不可)
営業時間:8時~日の入り後1時間(L.O.日の入り)
アクセス
車の場合
那覇空港より約1時間(沖縄自動車道利用/沖縄南ICを降りて嘉手納方面へ)
一般道の場合は国道58号線にて約70分
マップコード:33 881 570*86
バスの場合
空港リムジンバスを利用(那覇空港国内線ターミナル12番のりばより乗車 Bエリア系統 星のや沖縄にて下車。徒歩約2分)所要時間:約1時間30分。
乗車券は「空港リムジンバス案内センター」もしくはインターネットにて事前購入が必要。
駐車場:有(77台)
カフェ利用で60分無料。以降1時間300円(最大料金1000円/日)
地図
おでかけのポイント
・取材に訪れた日は、開店時間から多くの方が来店されていました。お気に入りの場所を選んで座るには早めに行かれた方がよいかもしれません。(座席の予約はできません)
・夕陽を観たい方は、日の入り時刻をぜひチェックしてくださいね。日の入り時刻の確認はこちら(バンタカフェ公式サイト内)
・海の景色を重視される方は、満潮時間前後がおすすめです。潮が引くと遠くまで岩場が見えるようになります。どの景色も、自然のありのままの姿を感じることができますので、刻々と変わる景色を楽しんではいかがでしょうか。(満潮時刻の確認サイト(気象庁/那覇))
・最大限に自然を生かした空間なので、虫よけスプレーなどをお持ちになるといいと思います。蚊取線香も随所に置かれていますが、携帯用蚊取線香や虫よけスプレーなどがあると安心です。日焼け対策の帽子、サングラス、日焼け止めなどは、こちらの利用に限らず沖縄では必須アイテムですので、お忘れなくご準備ください。
・ビーチがすぐ目の前にあり、思わず海に入りたくなりますが、岩場には海藻が生えていて、滑りやすくなっています。また沖縄の海には浅いところでも危険な生物がいることもありますので、素足や軽装のサンダルなどでは入らないようにしましょう。海に入る場合は、マリンシューズなどをお持ちくださいね。(遊泳はできません)
・空調のある室内は「ごろごろラウンジ」です。屋外の席も、日中は日差しを防げるようにはなっていて風が通りますが(夕方は日が差し込みます)、お子さま(特に乳児)をお連れの方は室内をうまく利用してお子さまの熱中症にはお気をつけくださいね。
・離乳食の持ち込みは可能ですが、ひと声かけてから利用すると気持ちがよいですね。授乳室はありませんので、必要な方は調乳用のお湯などをお持ちになることをおすすめします。
・悪天候などでクローズになる場合もあります。オフィシャルHPやInstagram、Google mapで情報が発信されるそうなので、台風などの時は事前確認がおすすめです。
まとめ
沖縄の海を、自然を堪能できる海カフェ「星野リゾート バンタカフェ」。
バリエーション豊かな座席から自分のお気に入りの空間を見つけ、自然に包まれながらくつろぐことができるので、ついつい長居したくなってしまいます。「あの席もいいな」とまた次に来るのも楽しみになりそうです。
沖縄の海が時間とともにうつろう姿を見て、波の音・虫の声を聞き、植物の力強さや岩のひんやりとした温度を感じ、土の匂いを嗅ぎ、そして沖縄らしいものを食す。ゆったりとした気分で自然の中にいると、心が洗われていくような気がします。沖縄に来られた方も、沖縄に住んでいる方も、自分のお気に入りの空間で、非日常のときを過ごせる「星野リゾート バンタカフェ」を訪れてみてはいかがでしょうか。
コメント