県外・海外予選
沖縄県立武道館と沖縄空手会館の2会場で、「首里・泊手系」「那覇手系」「上地流系」「古武道(棒)」「古武道(サイ)」の5部門を、少年~シニアの男女各4種目により競います。
8月2日は沖縄県立武道館で「首里・泊手系」「上地流系」、沖縄空手会館で「古武道(棒)」、・3日には沖縄県立武道館で「首里・泊手系」「古武道(サイ)」、沖縄空手会館で「那覇手系」の予選が行われました。
基本ルール
予選は得点方式で行われました。
コート中心、選手に対し正面に座るのが主審。そこから左回りに第二審から第七審が配されます。選手は事前に型の申告を行い、その型の名称をコート上でも呼称してから演武を始めます。申告した型と違っていたり、呼称しないまま演武を始めた場合は失格です。
演武が終わると、主審の笛の合図で全審判が採点表を掲げ、告示員がそれを読み上げて記録、合計点が表示されて終了です。
その際、最も高い得点、最も低い得点が除かれ、その合計が最終得点となります。
例えば、第一審から順に
8.15 8.05 8.10 8.15 8.05 8.00 8.10
の採点だったとします。
これから最高点の8.15と最低点の8.00が除かれ、
8.05 8.10 8.15 8.05 8.10の合計、
40.45
が得点となるわけです。
予選 首里・泊手系(8/2・3 @沖縄県立武道館)
首里手は琉球王朝時代政治の中心であった首里の士(サムレー)たちにより、泊手は泊地方の士(サムレー)たちにより受け継がれたものとされています。現在の少林流・少林寺流・小林流・松濤館流が首里手系の流れを、松林流が泊手系の流れを汲んでいるということです。
パッサイ、セーサン、スンスー、ニセーシ、ピンアン初段など、気合いのこもった様々な型を見ることができました。中でも、事故で左足を失ったJonas Amaral De Freitasさん(成年Ⅰ男子)の演武と、彼に送られた大きな拍手は胸に迫るものがありました。
5部門の中で最も参加者が多く、中でも成年Ⅰ男子は124名、成年Ⅱ男子は131名のエントリー。7グループに分かれ、各グループ上位3名が本大会出場。各グループの4~6位が敗者復活戦へ進み、上位7名が追加で本大会出場ということでした。
参考:内閣府 沖縄空手の紹介
予選 上地流系(8/2 @沖縄県立武道館)
中国のパンガイヌーン拳法を学んだ上地完文を開祖とする流派で、「サンチン」を主とする厳しい鍛錬法で知られています。セーリュー、カンチン、サンセーリュー、セーサンなどの型があり、指先の動きと呼吸に特徴があるように感じました。
最もエントリーが多かったのは成年Ⅱ男子。39名が2グループに分かれ、各グループ上位5名が本大会出場、各グループの6~9位が敗者復活戦へ進み、上位2名が追加で本大会出場ということでした。
参考:内閣府 沖縄空手の紹介
予選 古武道(棒)(8/2 @沖縄空手会館)
古武道の棒を使った演武。長さ180cm以上、男子は重さ900g以上、女子は800g以上の棒を用いて行われます。朝雲の棍(ちょううんぬくん)、周氏の棍 大(しゅうしぬくん だい)、徳嶺の棍(とくみねぬくん)、佐久川の棍(さくがわぬくん)などそれぞれに特色ある型が披露されていました。素早く、大きく、自在に棒を操る選手たちの姿は圧巻でした。
ここでは成年Ⅰ男子のエントリーが44名と最も多く、3グループに分かれ、各グループ上位3名が本大会出場。各グループの4~6位が敗者復活戦へ進み、上位3名が追加で本大会出場ということでした。
予選 那覇手系(8/3 @沖縄空手会館)
那覇は海外に開かれた商業都市であり、特に久米村(クニンダ)は福州を中心とした中国系渡来人の居住地でした。その中で生まれたのが那覇手とされています。現在の剛柔流、東恩流、劉衛流が那覇手の流れを汲んでいるということです。
シソ―チン、サイファー、セーユンチン、ゲキサイなどの型を見ることができました。
最もエントリーが多かったのは成年Ⅱ男子で、36名が2グループに分かれ、各グループ上位5名が本大会出場、各グループの6~9位が敗者復活戦へ進み、上位2名が追加で本大会出場ということでした。
Bグループでは、9位に2名の選手が同点で並び、再試合が行われました。複数の選手が同点で並んだ場合、採点の際除かれた最低点を加算、それでも並ぶ場合は最高点を加算、それでも並ぶ場合にしか行われない、とてもレアなケースです。両選手ともにセーユンチンという同じ型を選択し、得点はそれぞれ41.00と40.75。0.25の僅差で勝敗が決しました。
参考:内閣府 沖縄空手の紹介
予選 古武道(サイ)(8/3 @沖縄県立武道館)
かんざしに似た形から「釵(サイ)」の字が当てられたと言われる中央の長い三つ又の武具で、2本一組で扱います。鉄またはステンレス製、演武者の肘の長さ以上、重さは男子650g以上、女子550g以上と定められています。
素人の私は、初めて見た時に、時代劇で目にする十手や忍者が扱う姿(実際にはサイは忍具ではありません)を連想してしまいました。とても美しい佇まいの武具です。北谷屋良のサイ、浜比嘉のサイ、湖城のサイなどがあり、独特の動きや手さばきに引きこまれるようでした。
最もエントリーが多かったのは成年Ⅱ男子。20名のグループから上位12名が本大会出場となっていました。
まとめ
午前中は沖縄空手会館、午後に沖縄県立武道館へ移動して予選を見守った2日間。全ての部門に少年、成年Ⅰ、成年Ⅱ、シニアの選手が揃う競技人口の幅広さ、また、選手の演武する型の美と迫力に目をみはってばかりいた気がします。
1日目は、選手の動きをファインダー越しに追い、シャッターを切るので精一杯。2日目は、少しですが型の名前や得点などにも目が配れるようになってきました。これまで空手に出会わなかった不幸と、こんな形で出合えた幸運を一度に味わいつつ、
次回第3回は、国際大会4日目。いよいよ本大会に突入です。
次の記事はこちら▶︎ 「2018年第1回沖縄空手国際大会・第3回 8月4日 本大会 ベスト32→ベスト4」
前回の記事はこちら▶︎ 「2018年第1回沖縄空手国際大会・第1回 8月1日 奉納演武・開会式・交流演武会」
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