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沖縄の春の風物詩、シーミー文化と手順を解説

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シーミーとは?

本来は親族が集まってお墓の前で食事会をする行事

シーミーとは親族で集まってお墓参りをする、お盆とは別の行事です。お参りが終わったら、お供え物をその場でみんな食べて会食を楽しみます。

はなこ

ブルーシートや日よけのテントまで用意して、みんなで楽しく過ごす様子はまるでピクニックです。

本州の人や移住者の方からすると、「お墓の前でご飯を食べるって聞いたことがない!」ってなりますよね。子どもの頃から当たり前の行事だったのですが、よくよく考えたら不思議だなと思います。

筆者の家のシーミーは、親戚のみんなで取り掛かる大仕事という感じでした。早朝から祖父母の家に集まり、男性陣はお墓掃除へ行き女性陣はキッチンで慌ただしくお供え物の重箱の用意をします。

普段は会えない親戚達と交流できるので、春の楽しみの1つです。

シーミー(清明祭)の意味と2021年のシーミーはいつからいつまで?

清明とは二十四節気の1つ。季節は春・夏・秋・冬を約3ヶ月ごとに分けるのが一般的ですが、二十四節気は15日単位で分けます。晴明は4月の初めに訪れるのが主で、2021年は4月5日から4月19日までです。シーミーはこの期間内の、都合のいい日に行います

経験上ですが、南部はシーミーを行う日取りが早く、中部・北部の順で後半の日付に行うことが多い気がします。次の項目で説明する「神ウシーミー」を行う家が中部・北部に多いからかもしれません。

シーミーを行う理由は人によってまばらなのですが、「あの世のお金がなくなる頃でウチカビをもらうため」とか、「ご先祖様に近況報告するため」とか所説あります。

単にみんなで盛り上がりたいだけっていう説もあって沖縄県民らしいですよね。

沖縄県民にとってシーミーの優先度はかなり高めで、仕事を理由に欠席すると親から怒られたものです。その後日、何か悪いことが起きたら「シーミー行ってないからだよ」「早く父方のお墓にうーとーとーしてきなさい!」とおじいやおばあは本気で心配します。

シーミーと神ウシーミー(神御清明祭)の違い

シーミーでお参りするお墓は2ヵ所あります。

始めに始祖たちが眠る門中墓(ムンチューはか)をお参りする神ウシーミー(神御清明祭)を行い、次に祖父母やその兄弟家族など自分の身近な先祖達が眠るお墓をお参りするシーミー(晴明祭)を行います。

後者が一般的なシーミーと呼ばれる行事です。

「門中」「門中墓」とは?

門中(ムンチュー)はざっくり説明すると、家系の始祖と血が繋がっている父方血縁者達を指します。家に嫁いできた女性や、婿養子は門中にはなりません。

沖縄の道を車で走っていると、茂みの中に大きなお墓が建てられているのをみたことはありませんか?そのお墓が門中墓です。霊園などができるずっと前からそこに建てられたのでしょう。

糸満市には観光名所の巨大門中墓があるそうなので一見の価値ありですね。

自分の門中や門中墓を把握しきれない人が増えてきたので、神ウシーミーを行う家は少なくなっています。

ちなみに、首里ではシーミーのことを「ウシーミー」と言います。こちらは神ウシーミーのことではなく、単にシーミーを丁寧に言い回した言葉です。首里は城下町であったため普通の方言よりも丁寧な発音をすることからウシーミーと発音します。

シーミーは中国から伝わった文化

シーミーは琉球王朝時代に中国から伝わった文化です。中国や台湾では清明の季節を「清明節」と呼び、親族で集まってお墓を掃除します。沖縄以上に晴明の期間を大切にしており、中国のカレンダーでは、清明節のために3日間も祝日になるそうです。

日本のお盆と同じように、とても大事にされている行事だということがうかがえます。

県や市はコロナ禍でのシーミーに注意喚起している

県民にとってシーミーは大切なイベントですが、密になりやすいので新型コロナウイルス感染症の影響で中止が相次いでいます。筆者の家も去年と今年の2年間シーミーが中止になったので、仕方ないと思いつつ寂しさも大きかったです。

緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ安心はできません。昨年から市役所や町役場のホームページでコロナ禍のシーミーをどう行うべきか、注意喚起や対策法を載せています。下記をご参考ください。

  • 代表者数名だけで行う
  • お供え物はその場で食べず持ち帰る
  • 参加する前に発熱や体調不良がないかチェックする
  • 小さなお子様やお年寄りは参加させない
  • 本州から帰省した方は参加を控える
  • 自宅でお墓に向かってお祈りする
  • 筆者の家は、「各々が都合の良い日にお墓参りをしよう」ということになり、祖父母の家にある仏壇にお菓子やフルーツをお供えしました。

シーミーに必要な物

シーミーを行う上で必要な物の一覧を記載します。

◉ 掃除道具

お墓を清掃する時に必要です。竹ほうき・バケツ・雑巾など。

◉ 線香(地域によって使う種類が異なる)

平線香を使う場合が多いですが、棒状の線香を使う家もあります。特に決まりがなければ平線香で良いでしょう。

◉ 供え花

お花屋さんで供え用のお花を聞けば、手配してくれます。

お供え物

本来ならお祝い用の重箱を用意しますが、会食を控えるならフルーツやお菓子がおすすめです。お菓子は紅白のかるかんやお餅、まんじゅうなど和菓子を選びます。
シーミーの時期はスーパーやお菓子屋さんでシーミーコーナーを構えます。

◉ お酒
◉ ビンシーまたは小さめの盃

ビンシーとはお酒を入れる盃とお米を入れる仕切りがセットになった道具です。所持していなければ、お供え用の小さな盃を用意しましょう。ビンシーや盃の数は地域によってしきたりが異なるので確認しましょう。

◉ ウチカビ

いわゆる「天国のお金」です。スーパーやコンビニで販売しています。

◉ ボウルと火箸

ウチカビを燃やす際に使います。ボウルに入れたウチカビを火箸で掴んだ状態で燃やします。

こちらは、代表者の方がシーミーを行う為に必要な道具一式になります。代表者でない方がお参りする場合はお供え物と供え花だけでOKです。

シーミーを行う手順

お墓掃除

お墓を綺麗に掃除します。霊園の水道で供え花用の花瓶の水を入れ替えましょう。

お供え物・供え花・お酒を用意する
線香を焚いて拝みの言葉

手を合わせながら、ご先祖様に感謝の言葉と子孫繁栄の願いを込めた拝みの言葉を言います。

ウチカビを燃やす

ボウルの中でウチカビを燃やします。

ウチカビの焚き方

ウチカビとは前述した通り、天国でのお金にあたる物です。ウチカビの焚き方を写真でご説明します。

上記の写真に写っている黄色の紙、こちらがウチカビです。サンエーやかねひでなど、沖縄のあらゆるスーパーで販売しています。

うちかびセット

ウチカビを焚くのに必要な道具は上の4つ。

  • 土台
  • ボウル
  •  網
  • 火箸

こちらはホームセンターや仏具屋さんでセットになって販売されています。

うちかびセット

上記のようにセットします。ボウルの中には水を入れてください。網の上でウチカビを焚きます。

うちかびの燃やし方

火箸でウチカビを掴みながらライターやマッチで火をつけます。地域によっては、お供え物を1品網の上に置いてウチカビを焚くといった方法をとるようです。

うちかび燃やし方

あとは用意したウチカビを全て焚き、行事の後に道具を全て洗えばOKです。残った灰はそのまま土に埋めるかゴミ箱に捨ててください。本来は仏壇やお墓の前で行います。

シーミーのQ&A

喪中の方は参加しても良い?

シーミーは弔事ではなく、慶事(お祝い事)にあたります。なので、喪中の方は1年または3年間参加してはいけないそうです。

ちなみにシーミーはお祝い事なので、お供え物のお菓子を買う時は慶事用のラッピングをします。

ウチカビを燃やす枚数は?

ウチカビは1人三枚、多くて五枚が良いと言われます。親族を代表して行う場合は、1セット全て燃やしても良いでしょう。

渋滞する?

シーミーを行う日は土曜日か日曜日でお参りの時間も大体同じなので、他の家とかぶって霊園までの道のりに渋滞ができることがあります。筆者は金武町(中北部)の霊園にシーミーへ行っていたのですが、経験上11時から13時がピークでした。込み合いそうな時間や日付を避けていくことをおすすめします。

まとめ

シーミーとは親戚一同でお墓の前に集まり、お参りしたのちに会食をする行事です。「清明」と呼ばれる節季の1つに行うので、シーミー(清明祭)と呼びます。

一般的なシーミーとは別に、家計の始祖が門中墓をお参りする神ウシーミーがあります。神ウシーミーを行う家庭は減ってきていますが、シーミーの歴史は琉球王朝時代までさかのぼり、もともとは中国の文化だったものが沖縄に伝わって現代まで受け継がれてきました。中国・台湾ではシーミーのことを「清明節」と呼び、3日間の祝日になります。

新型コロナウイルス感染症の影響で中止が相次ぎ、昨年から少人数で行うささやかなシーミーが増えています。なので、今回は代表者数名だけで行えるささやかな内容をお伝えしました。豪華なお供え料理や楽しい雰囲気をお伝えしたかったのですが、機会があれば本来のシーミーの姿を記事にアップしたいと思います。

シーミー離れが加速してきた気がして少し寂しいですが、今年は各々の家庭にあったシーミーを過ごしましょう。この記事が少しでも参考になればと思います。

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シーミー

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この記事を書いた人

生まれも育ちも沖縄県南部!方言の話せない生粋のうちなーんちゅです。結婚を機に名護市に移住し、海の美しさと豊かな自然にパワーを感じて「やっぱり沖縄って底知れない魅力がある」と再確認。2人のわんぱく男児がいるので、家族で楽しめる沖縄のスポットを、観光の方や地元の方に伝えていきたいと思います。

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