ハーレー舟2

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ハーリー

【2016年糸満ハーレー】糸満の海人(漁師)たちの一大行事に大興奮(糸満市・いとまんし)

執筆者 : ふーこ

糸満市といえば海人のまち。

昔から水産業を生業として、漁港も市場も町も海産物を取り扱い、地域ぐるみで支えあい栄えてきた糸満には、海人の文化があります。糸満ハーレーとは、海人たちの一大行事です。今回は、私が鳥肌がたつほど興奮した、糸満ハーレーを紹介します。

ハーレーとは

ハーレーは約600年前に中国から伝わったとされていて、海上で爬竜船(はりゅうせん)を漕ぎ競い合うことで、航海の安全や豊漁を祈願するものです。

沖縄では、旧暦5月4日に行われる舟こぎ競漕のことを一般的にハーリーといい、糸満ではハーレーと呼びます。

糸満ハーレーとは

古くから「海人(漁師)のまち」と言われている糸満は、水産業を生業としている人が多く、となると、海人の伝統行事であるハーレーは、糸満の一大行事となります。

糸満の海人たちが、海上で勇ましい競漕を繰り広げます。豪快なエーク(カイ)さばきは、見る人を魅了します。

ハーリー舟3

日時

旧暦の5月4日(ユッカヌヒー)、糸満ハーレーが開催されます。元は中国から伝わったとされる文化で旧暦で行われます。

現代は新暦で行う地域もありますが、糸満ハーレーが旧暦で行われるのは神事を重んじ海人文化を大切にしているからです。

また、漁を生業とする海人にとって潮の満ち引きはとても大切です。旧暦は月の動きを基準としているため、潮時表と照らし合わせると、この時期がちょうど漁の最盛期が終わる頃にあたるためとも言われています。糸満ではこの日は学校も会社もお休みのところが多いそうです。お祭りで休暇なんてうらやましいです

海人の歴史

糸満の海人が一番活躍した時代は、明治中期から昭和初期にかけてと言われています。海人の玉城保太郎(たまぐすくやすたろう)さんが明治時代に考案したミーカガン(水中メガネ)が海人達に広がりました。

ミーカガン 糸満海人工房資料館HPより引用出典:糸満海人工房資料館

潜水技術の向上でアギヤーと呼ばれる潜水追い込み漁で成果が出たり、素潜りで貝類や海藻類を獲ったりと海人の発展に貢献しました。

明治35年頃には漁業従事者が糸満全体の約6割に増え、水産業で栄えていました。私のおじぃに、昔の水中メガネの作り方を教えてもらいましたが、現代のゴムやシリコンのものとは大違いで、木とガラスで作っていたということに驚きを感じました。

イチマン ウィナグヤ、アチネージョージ

イチマン ウィナグヤ、アチネージョージとは、糸満女性は商売上手という意味です。糸満の女性は夫や息子が海で取ってきた魚を売りさばいて家計を助けました。アジアやアフリカでよく見かける、かごを頭に乗せて運ぶ姿が糸満にもありました。

糸満市教育委員会より引用出典:糸満市教育委員会

大正時代になると、糸満海人がフィリピンやシンガポール、また千葉や福井の海まで出漁し、アンマー(お母さん)の商才により御殿を建てたところもあったそうです。

今でも商売上手は糸満にいる、と言われており、長い歴史の中で糸満の女性には商売上手のDNAが流れているそうです。

御願(ウガン)に始まり御願(ウガン)に終わる

ウガンバーレー
写真の琉球新聞号外の1面記事を飾ったのがウガンバーレーと呼ばれる競漕で、1年の大漁と航海の安全を祈願します。

また、各地域には拝所があり、ハーレーの開始前と終了時には重箱料理やお酒などをお供えし、ハーレー歌を歌いながら奉納します。

ハーレー舟

サバニ舟と呼ばれる細長い木製の舟がハーレー舟として使用されます。昔は海人が所有している舟の中からハーレー舟が選ばれ、ハーレー舟に選ばれることはとても名誉なことでした。選ばれた家の人は漕ぎ手の世話をしたり応援する人を接待したりと、散財するほどお金を使ったそうです。

先頭から、鉦打ち(1名)、一番エーク(1名)、二番エーク(2名)、三番エーク(2名)、四番エーク(2名)、五番エーク(2名)、六番エーク(1名)、舵取り(1名)計12名が乗り込みます。ウガンバーレーの時は旗持ちが乗り込みますので13名になります。

鉦打ちはリズムよく鉦を鳴らし、漕ぎ手の呼吸を合わせます。一番エークに選ばれる人は海人の中でも力強くスタミナがあるリーダーが選ばれます。舵取りはエーク(カイ)さばきが上手な熟練の海人が選ばれます。見た目が細長い舟でこんなに大勢乗れることに驚きました。

糸満ハーレーの見どころ

糸満市のハーレーは、糸満ハーレー名城ハーリー喜屋武ハーリーと市内3ヵ所で行われています。

糸満ハーレーが一番歴史が古く、これを見ずして海人は語れないとも言われています。

中でも、「クンヌカセー」と呼ばれる転覆競漕があり、わざと舟を転覆させたあと、また舟を起こして漕ぎ出す競技があります。

昔、荒海で小さなサバニが転覆してしまう危険と隣り合わせだった海人が転覆してもすぐに舟を起こして漁を行っていたことから、舟を起こす技法と海人の力強さの腕試しをしたと言われています。私はこの競技を見たとき、かっこよすぎて鳥肌が立ちました。

クンヌカセー

面白い競技もあります。スイカやアヒルを海に投げ入れ、中高生の海人が一斉に海に飛び込み捕まえてくるんです。競技後、生きたアヒルを網に入れ売り歩いている中学生がたくさんいました。(笑)

ペットとして飼うのかそれとも…?

アガイスーブ

アガイスーブとは、上がりの勝負という意味です。競技最後の種目です。

アガイスーブの前に静かにハーレー歌を歌いながら海上を旋回します。厳かな雰囲気で、今まで応援していた人々も手を合わせたり静まり返っている様子がうかがえます。

この競技には各村の選りすぐりの漕ぎ手が出場します。優勝がかかるこの勝負!真剣な表情。雰囲気にのまれた私は、感動の涙が溢れてきました。最後の勝負が決まった瞬間応援していた仲間が一斉に海に飛び込み、喜びを分かち合っていました。また、負けたチームの悔し泣き。大人の男がこらえながら泣いている姿を見てまた感動。時間があれば、絶対最後まで見る価値がありますので、アガイスーブを見てください。

ちょっと怖いお話

ハーレーの翌日は海に出てはいけないと言われています。

それは、海で亡くなった人がハーレーを行う日と言われているからです。誰もいないはずの海から漕ぎ手の掛け声や鉦を打ち鳴らす音、舟の進む音が聞こえてくるそうです。これをグソーバーレー(グソー=あの世)と呼びます。ハーレーの翌日はしっかり休んで、ハーレーの疲れを取り、次の日から頑張って働きましょう、ということのようです。

お土産には糸満ハリコ

今ではあまり見られなくなってしまいましたが、昔はハーレー会場で子供のおもちゃとして売られていたのが、糸満ハリコです。子供たちに大人気の手作りでほんわかした表情豊かなハリコです。

糸満市ではハリコ絵付け体験なども行っていますので、糸満市観光協会へ問い合わせてみてください。

TI-DAブログより 糸満ハリコ出典:TI-DAブログ

サバニ乗船体験

ハーレーで使用されているものとは少しタイプが違いますが、帆掛けサバニの乗船体験が出来ます。風と波を感じ、海人の気分を味わえます。波しぶきがかかる場合がありますので、濡れてもいい服装で参加してください。

1週間前までの事前予約が必要で、6名からの催行となっていますので友達や家族と一緒に旅の思い出作りはいかがでしょうか?我が家もおじぃが乗りたい!乗りたい!と言っていますので、6名集めて行こうと思っています。糸満市観光協会に問い合わせたところ、80歳過ぎたおじぃでも乗船可能だそうです。

糸満海人工房・資料館

海人が使用していたサバニ舟や漁具、魚の模型など約2000点の展示があります。また、事前予約をしておけば、海人講話も聞くことができます。

住所:糸満市西崎町1-4-11
時間:9時~12時/14時~17時
休館日:月・旧盆・旧正月/イベント開催時は休館
入館料:大人300円/小中高生100円
問い合わせ:098-987-1550

糸満市観光協会

住所:糸満市西崎町4-20-4(道の駅いとまん 情報館内)
受付時間:9時~18時
休館日:なし
問い合わせ:098-840-3100
e-mail:itoman-k@mco.ne.jp

まとめ

今回私は、糸満の本物の海人達の戦いを目の前で見て、格が違う!凄すぎる!感動して鳥肌が立ちました!

他の地域ではハーレーを観光化しようと、休日におこなったり、那覇市の那覇ハーリーは、ゴールデンウィークの新暦5月3日~5日に行います。糸満ハーレーは神事性を重んじるため、伝統通り旧暦の5月4日に行います。旧暦の5月4日が平日であっても、その日がハーレーのために休みになる。ハーレーにかける情熱の違いが素晴らしいです。是非、糸満のハーレー、海人たちの熱い戦いを目の前で観戦してください。

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ふーこ

人生楽ありゃ苦もあるさ。 2014年。夫婦で主人の故郷沖縄へ移住、長男の嫁。 リゾートホテルのショップ運営課に勤務しながら叔父の経営する釣具屋の広報部長も担当。→ 坂尾釣具店 『沖縄の長男の嫁は苦労する』というジンクスは本当だった!?文化の違いに戸惑い、迷い、思い、考え、感じるままに、日々成長中。知らないことの方が多すぎて、毎日が驚きの連続!そんな日常をご紹介できたらと思います。 現在出産のタイミングで岐阜に再び帰省。

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